手首の捻挫と間違えやすいTFCC損傷
TFCC損傷とは、手首の小指側の痛みを伴う疾患です。その似た症状から、単なる捻挫と診断されてしまうケースが少なくありません。
交通事故、日常生活・スポーツにおける転倒などの際、手をつく動作による一度の強い衝撃・繰り返しの負荷によってTFCC(三角線維軟骨複合体=手首の小指側の軟骨・靭帯・腱などの軟部組織の構造)が損傷することで発症します。
TFCC損傷の原因は?
手をついた時の手首への一度の強い衝撃、または繰り返しの負荷を原因とします。
スポーツでは、野球・テニス・ゴルフ・柔道・レスリングなど、さまざまな競技において見られます。
また、加齢や関節リウマチ、高尿酸血症などもTFCC損傷の発症リスクを高めるものと考えられます。
TFCC損傷になりやすい人
特に以下のような方は、そうでない方よりもTFCC損傷の発症リスクが高くなると言われています。
- ご高齢、障害などによって転倒しやすくなっている人
- 手首に負担のかかるスポーツをしている人
- 関節リウマチ、高尿酸血症の診断を受けている人
TFCC損傷は自然治癒しない?
TFCC損傷は、軽度であれば手首の安静を保つことで、自然治癒が期待できます。ただその場合も、サポーターなどの装具を用いることが推奨されます。
一方で中等度・重度の場合、整形外科などでのより専門的な治療が必要となります。
痛みは軽いけれど安静を保つことが難しい場合、痛みが強い・長引く場合には、お早目に当院にご相談ください。
TFCC損傷の症状
手首の小指側の痛み・腫れが基本的な症状となります。

- 手首の小指側の痛み、腫れ
- ドアノブを回す時の痛み
- タオルを絞る時の痛み
- 手首を小指側へと曲げにくい
- 手首の不安定感、力が入らない
TFCC損傷の検査
問診・診察では、症状、スポーツ歴、既往歴などについて確認します。
その上で、レントゲン検査を行い、診断します。MRI検査が必要になることもあります。
TFCC損傷の治し方
主に、以下のような治療を行います。
保存療法
サポーターなどの装具を用いて安静にしますが、その間も拘縮を防ぐための手首の曲げ伸ばしの運動を行います。ただし、手首を回す運動は禁止です。
必要に応じて、湿布の外用、ステロイド注射なども行います。
痛みが落ち着いてきてからは、より本格的なリハビリテーションを行います。
手術療法
関節鏡を用いたTFCCの縫合術、尺骨短縮術などの術式があります。
手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院をご紹介します。
