指の腱鞘炎であるばね指
指を曲げたり伸ばしたりする時には、腱鞘という鞘の中を通る「屈筋腱」が収縮しています。
ばね指は、手の酷使などを原因として炎症が起こり、屈筋腱が滑らかに動かなくなる疾患です。手首などでよく見られる腱鞘炎が、手指で起こった状態です。指の付け根の痛みや腫れ、指の曲げ伸ばしの際の引っかかりなどの症状を伴います。
ばね指の原因は?
ばね指の原因は、手の酷使です。
具体的なものとしては、テニスやゴルフなどの手を使うスポーツ、パソコン作業、手を使う楽器演奏、料理・洗い物といった家事などが挙げられます。
特に女性は、妊娠中や産後、更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期、腱鞘が狭くなりばね指を発症しやすくなると言われています。
その他、関節リウマチや糖尿病も同様に、腱鞘を狭くし、ばね指のリスク因子になると言われています。
ばね指の症状
主に、以下のような症状が見られます。
頻度が高いのは、親指・中指・薬指です。

- 指の付け根の痛み、腫れ
- 指の曲げ伸ばしがスムーズにできない
- 指の曲げ伸ばしの際に引っかかりがある
- 指のこわばり、動かしづらさ(特に起床時)
- 指が曲がったままで伸ばせない
- 指を伸ばそうとした時に、勢いよくカクンと伸びる
ばね指の検査
問診・診察では、症状、既往歴、服用中の薬などについて確認し、症状から診断します。
他の疾患との鑑別のため、レントゲン検査を行うことがあります。また超音波検査では、引っかかる部位、引っかかりの現象などを確認できます。
ばね指の治療
ばね指の診断後は、以下のような治療を行います。
保存療法
痛みや炎症を抑えるため、非ステロイド性消炎鎮痛薬の内服、湿布の外用などを行います。
日常生活に支障をきたしている場合には、ステロイド注射が有効です。
痛みが落ち着いてからは、指のストレッチ、筋力トレーニングなどを行います。
また、対外衝撃波治療も効果的です。身体の外側から衝撃波を当て、慢性疼痛を改善します。痛みを引き起こす自由神経終末を破壊することで、高い即効性が得られます。
手術療法
痛みの原因となっている腱鞘を切開し、一部を離開させる手術が行われます。手術が必要になった場合には、速やかに提携する病院をご紹介します。
ばね指を
自分で治す方法はある?
ごく軽度のばね指であれば、以下のようなストレッチを行うことで、治ることが期待できます。
ただし、必ず痛みのない範囲で行ってください。痛みがある、ストレッチをしても改善しない場合は、当院にご相談ください。
指を伸ばすストレッチ
- 手首を外側(手の甲側)に軽く反らします。
- 5本の指を自然に伸ばします。
- 反対側の手を使い、1本1本、指を外側へと伸ばします。
親指のばね指に対するストレッチ
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手首を外側に軽く反らします。
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親指を付け根から、できるだけ内側へと曲げます。
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反対側の手を使い、親指を伸ばすように力をかけ、押し合います。
ばね指になったらやってはいけないこと
ばね指かもしれないと思った時、また診断後は、以下のようなことをお控えください。
無理に指を伸ばす
痛みが出るようなストレッチは、逆に炎症を悪化させてしまいます。
自己流のマッサージをする
「痛気持ちいい」としても、自己流でのマッサージはお控えください。炎症が悪化するおそれがあります。
痛みがあるのに放置する
ごく軽いばね指であれば、自然治癒、ストレッチによる治癒が期待できますが、痛みがある場合には整形外科などで専門的な治療を受けてください。
